製造業/メーカーの地方の工場や研究所で、即戦力となる30代・40代のエンジニアを採用しようとするとき、都市部との厳しい競争を実感することが多いかと思います。実際、給与相場や知名度の面で地方が不利だと見られがちで、「地方だから採用できないと」半ば諦めている企業様も多いように感じます。
しかしながら、地方ならではの強みをしっかり伝えれば、大都市圏の優秀なエンジニアを引き寄せることは十分に可能です。そこで、弊社で人材紹介や採用コンサルティングを行っている製造業のお客様の事例から、地方拠点での採用が成功するための方法をまとめてみたいと思います。
■まずは興味を持ってもらう、応募検討の心理的なハードルを下げる
― 地方の魅力をわかりやすくアピールする
多くのエンジニアにとって、地方勤務は「生活が不便そう」「先端的な仕事が少ない」という印象を抱かれやすいものです。そこで重要になるのが、“ひと目でわかる”魅力の打ち出し方です。たとえば、年間休日の多さや通勤時間の短さ、自然豊かな環境など、都会にはないメリットを視覚的に示すと効果的です。LinkedInやnote、その他SNSや動画を使って現場の様子を紹介し、「なんだか楽しそうだ」と感じてもらえれば、応募へのハードルを下げられます。
― UIターンや移住希望者の不安を軽減する
30代・40代のミドル層が転居を検討する際、家族の帯同を考える方が多く、住宅事情や子育て環境への不安が大きくなりがちです。自治体の補助金や移住支援制度、地元での生活に詳しい窓口などを具体的に提示することで、「ここなら不自由なく暮らせそうだ」と思ってもらえます。直感的に「暮らしやすそうだ」と感じてもらえれば、応募の第一歩につながりやすいです。
■給与条件、仕事内容などを求人票などで具体的にアピールする
― 給与・待遇を都市部と比較しても見劣りしないよう工夫する
エンジニアにとって、給与や待遇は移住を決断する大きなポイントです。地方だからといって給与を大きく下げてしまうと、「キャリアダウンだ」と敬遠されることが多いです。ただし、住宅手当や社宅制度を活用すれば、実質的に都心部と同程度の生活レベルが保てる場合もあります。さらに、リーダーやマネージャーなど責任あるポジションを用意することで「キャリアアップが見込める」と感じてもらえれば、転職先としての魅力が高まります。求人での打ち出し方を工夫していくことで、都市部の選択肢よりも良いのではないかと感じてもらえる可能性が出てきます。
― 「地方だから仕事が面白くない」と思われないように成長機会を明確に説明する
「地方の工場は最先端プロジェクトに関わりにくいのでは」という不安を解消するには、実際に取り組んでいる技術や事例を具体的に伝えるのが効果的です。たとえば、工場のDX化、製造ラインの自動化や新素材の開発など、地方でも先進的なポジションは数多く存在します。その内容をわかりやすく示せば、「地方でも十分にやりがいがある」と納得してもらえるでしょう。
■大手だけでなく中小や製造業特化のエージェントを使う、SNSやリファラルを積極活用する
― 大手プラットフォームと地域エージェントを併用する
圧倒的に登録者数が多いビズリーチやリクルート、パーソルなど、大手の転職プラットフォームは積極的に活用すべきです。そのうえで、地元を熟知した人材紹介会社や製造業に特化した中小のエージェントと連携すると、さらに幅広い候補者へアプローチできます。地域や業界/職種の労働市場に詳しいエージェントは、家族帯同の相談など実際の暮らしに踏み込んだサポートや製造業特有の転職事情にも熟知していますので、大手ではできないようなマッチングを実現してくれます。
― SNSとリファラルで信頼度を高める
組織の中核を担う30代・40代を採用する際は、人脈による紹介(リファラル採用)も大いに活用できます。SNSを使って現場の取り組みや社員の声を発信しつつ、すでに勤めている社員の知人ネットワークを頼れば、求職者との相性を見極めやすくなります。採用後のミスマッチも減りやすいため、長期的な定着が期待できます。
■入社後の定着を意識した職場づくり
せっかく優秀な人材を採用しても、早期離職が起きると採用コストや生産効率の面で大きな損失につながります。そこで、入社直後のオンボーディングを徹底し、会社のビジョンやプロジェクトの進め方を丁寧に説明することが大切です。また、評価制度やキャリアパスをわかりやすく示し、「どんな成果が求められ、どれくらい昇給や昇進に反映されるのか」を明確に伝えることも欠かせません。
さらに、部署間の業務量バランスを見直し、長時間残業を常態化させない工夫をすることで、働きやすい環境づくりを進める必要があります。
最近は特に「転勤を嫌う方」が増えている傾向があるため、地方勤務のメリットを活かし、できるだけ転勤を前提としない人事制度を検討する企業も少なくありません。もし転勤を行う場合でも、事前に本人の希望や家庭の事情を尊重するなど、柔軟に対応できる仕組みを整えておくことが、優秀な人材の定着に大きく寄与します。
■まとめ

地方企業が30代・40代のエンジニアを採用する際は、直感的に魅力を感じてもらい応募に対するハードルを下げること、労働条件や仕事内容を求人票などに明示して興味を持って貰う工夫の両面が欠かせません。最近の傾向で言うと、様々なSNSや動画を活用して「楽しそう」「暮らしやすそう」と思わせ、求人票を見てもらい、待遇やキャリア面で「本気で転職先として検討できる」と感じさせる段取りがキーになってくると思います。
また、大手プラットフォーム(ダイレクトリクルーティング、人材紹介)×地元、製造業特化エージェントの併用やリファラル採用を組み合わせれば、幅広い候補者層へ効果的にアプローチできます。そして、オンボーディングやキャリア支援をしっかり整えれば、優秀なエンジニアが長く活躍してくれる環境が育つと思います。地方ならではの強みを活かして、ぜひエンジニア採用を成功させてみてください。
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