転職活動をしていると、求人票の「必須要件」に足が止まることがあります。
「経験年数が足りない」「求められている業界経験がない」——こうした理由で、興味のある求人への応募を諦めてしまった経験はないでしょうか。
結論から言えば、必須要件をすべて満たしていなくても、応募して選考に通過するケースは実際にあります。ただし「何でも出せばいい」というわけでもありません。通過するケースと難しいケースには、はっきりとした違いがあります。
この記事では、企業が必須要件をどう設定しているかの実態と、応募してよいかどうかの判断基準を整理してみようと思います。
企業は「必須要件」をどう決めているのか
まず知っておいていただきたいのは、求人票に書かれた必須要件が「この条件を1つでも満たさなければ絶対に不合格」という意味で設定されているとは限らないということです。
弊社では企業の採用支援としてJD(求人票)の作成を一緒にお手伝いすることが多いのですが、最初に出てくる必須要件は、採用現場の「理想像」であることがほとんどです。「こういう人が来てくれたら理想的」というターゲットを言語化したものが、そのまま必須要件として並んでいるケースが多い。
もっと言えば、そもそも要件をうまく言語化できていない企業も少なくありません。現場と人事ですり合わせをする中で、「念のためこの条件も入れておこう」と膨らんでいった結果、難しそうな条件がずらっと並んでしまうこともあります。
よくよく話を聞いてみると、「必須要件を全部満たしていなくても、○○な経験がある人なら会ってみたい」という話になることは珍しくありません。特に「○年以上の経験」「○○業界での経験」といった条件は、厳密に線引きしていない企業が多いのが実態です。
必須要件を満たしていなくても通過するケース
では、具体的にどんなケースで通過するのか。よくあるパターンを挙げてみます。
経験年数が足りないが、経験の中身が濃い
「○○の経験10年以上」と書いてあっても、7〜8年で十分な実績がある方であれば選考に進めることはよくあります。企業が見ているのは年数そのものではなく、その間に何をやってきたかです。年数は目安に過ぎないケースが多いので、中身が伴っていれば応募する価値はあります。
業界経験はないが、職種の経験がある
たとえば「製造業での購買経験」が必須と書かれていても、他業界で同じ職種を経験していた場合は検討してもらえることがあります。職種としてのスキルやノウハウが共通していれば、業界知識はキャッチアップできると企業が判断するケースです。
求められる要件の大部分は満たしている
5つの必須要件のうち4つを満たしていて、残り1つが欠けている程度であれば、企業も「まずは会ってみよう」となることが多いです。すべてをパーフェクトに満たす候補者はそもそも希少ですから、大枠で合致していれば十分に選考の対象になります。
企業側の採用が難航している
理想の条件で求人を出したものの応募が集まらない場合、企業は条件を柔軟に見直すことがあります。こうした状況はエージェント側が把握していることが多いので、「この求人は今どのくらい応募が来ていますか?」と聞いてみると判断材料になります。
逆に、応募しても難しいケース
一方で、必須要件を満たしていない場合に無理に応募しても通過が難しいケースもあります。
必須要件の大半を満たしていない
5つの要件のうち1〜2つしか合っていないような場合は、企業にとっても書類上で評価するポイントが見つけにくく、見送りになる可能性が高いです。「少し足りない」と「方向性が違う」は別物です。
資格・免許が法的に必須なポジション
薬剤師、弁護士、建築士など、資格がなければ業務自体ができないポジションの場合は、「あると望ましい」ではなく法的な要件です。これは柔軟に判断する余地がないので、持っていなければ応募しても難しいと考えてください。
課長候補や課長など、マネジメントポジションでマネジメント経験がない
求人が明確にマネジメント層(課長候補・課長・部長など)を探しているポジションでは、マネジメント経験の有無を厳密に見る企業が多いです。プレイヤーとして優秀でも、「組織をまとめた経験があるかどうか」は別の能力として評価されるため、マネジメント未経験だと見送りになりやすい領域です。
必須要件を満たしていないときの応募の進め方
迷ったときの進め方を3つ挙げます。
まずエージェントに相談する
最も確実な方法です。エージェントは企業の選考状況を把握しているので、「この要件を満たしていないのですが、応募は可能でしょうか?」と率直に聞けば、企業に確認してくれます。必須要件を満たしていない応募であっても、エージェントが間に入って「○○の経験でカバーできる方です」と補足してくれるだけで、企業の受け止め方がまったく変わります。
職務経歴書を求人に合わせて調整する
必須要件に完全に合致していないなら、なおさら「自分の経験のうち、この求人に活かせるのはここです」と明確に示す必要があります。経歴を漫然と並べるのではなく、求人ごとにアピールポイントを意識して整理してみてください。職務経歴書の書き方についてはこちらの記事も参考になると思います。
「ダメ元」でも出してみる判断はあり
上記の「難しいケース」に該当しないのであれば、迷っているなら出してみるという判断は悪くありません。不合格だったとしても、選考に出すこと自体にリスクはありません。「出さなかったこと」は後から取り返せませんが、「出して落ちた」は次の判断材料になります。
まとめ
求人票の必須要件は、企業の「理想像」として書かれているケースが多く、絶対条件とは限りません。経験年数や業界経験が多少足りなくても、通過する可能性は十分にあります。
一方で、方向性が明らかに違う求人に手当たり次第に応募するのは逆効果です。自分の経験と求人の接点がどこにあるかを見極めたうえで、判断してみてください。
迷ったら、まずはエージェントに相談するのが一番早いです。
フレイズでは、求人要件と経歴のマッチングについてのご相談も承っています。「この求人、応募して大丈夫だろうか」と迷っている方も、お気軽にご連絡ください。