はじめに
「エージェント5社も依頼しているのに、紹介がほとんど来ない」
「来ても書類選考で落ちるような候補者ばかりで、現場から不満が上がっている」
など。
採用支援の現場で、こうした相談を経営者や人事担当者から受けることは本当に多いです。
もちろんエージェント側に問題があるケースもあります。
ただ、率直に言えば、企業側の情報提供の仕方やエージェントとの付き合い方を変えるだけで状況が改善するケースも多々あるというのが実感です。
この記事では、エージェントからの紹介がうまくいかないときに多い原因と、具体的な見直しポイントを整理します。
最近はダイレクトリクルーティングに注力する会社も多いですが、エージェントを上手く活用して、効率よく中途採用を進めることもぜひ力を入れてみてください。
紹介が来ない原因は、だいたい3つに集約される
エージェント経由の採用がうまくいっていないとき、原因を掘り下げていくと、たいてい以下の3つのどれか(あるいは複数)に行き着きます。
① 求人要件が転職市場と合っていない
たとえば「同業界で10年以上の経験、マネジメント経験あり、英語ビジネスレベル、年収は700万円まで」のような求人。条件を一つひとつ見れば無茶ではないように見えますが、全部を満たす人材が転職市場にどれだけいるかと考えると、エージェントの手が止まるのは当然です。エージェント側からすれば「そんな人、その年収じゃ来ません……」という話になる。
必須条件が多すぎる、年収が相場より低い、勤務地の制約が厳しい。こうした求人はエージェントから見ると「頑張っても決まらない案件」に映ります。そう思われると優先順位が下がり、紹介が上がってこない。最初だけ数件推薦が来て、あとはぱったり連絡がなくなる。そんな状態に陥りがちです。
② エージェントに十分な情報が渡っていない
求人票を送って「よろしくお願いします」で終わっていませんか。求人票に書かれた情報だけでは、エージェントは候補者に対してその会社の魅力を語れません。結果として、経歴だけでマッチングするしかなくなり、「スペックは合っているけど志向がずれている」候補者の紹介が増えます。
もちろん、求人票の内容が十分にリッチであればそれだけで伝わることもあります。ただ、エージェントからの紹介がうまくいっていない会社は、そもそも求人票の情報がとても薄いケースが多いのが実情です。
③ エージェントにとっての優先順位が低い
ここは意外と見落とされがちなポイントです。エージェントの担当者は、通常数十社の求人を同時に抱えています。その中で「この会社は頑張りたい」と思ってもらえるかどうかで、紹介の量も質も変わる。
実は、この「優先順位が低い」原因の中には、もう少し踏み込んだ話もあります。端的に言えば、エージェントから敬遠されている——もっとストレートに言うと、嫌われてしまっているケースです。
候補者を紹介しても選考結果の連絡が遅い。お見送りの理由を聞いても「総合的に判断して」としか返ってこない。あるいは、エージェントに対して高圧的な態度を取っている。こうなると、エージェント側も人間ですから「別の会社を優先しよう」となります。紹介しても手応えがない、フィードバックがもらえないから次の紹介の精度も上げられない。この悪循環に入ると、紹介はどんどん細っていきます。
エージェントは「依頼したら動いてくれる」わけではない
ここで少し、エージェント側の視点で考えてみます。
人材紹介会社の担当者は、一人で何十社もの求人を同時に担当しています。候補者のサーチ、面談、推薦、面接調整、条件交渉——すべてを並行して回しています。その中で、すべての求人に同じ力をかけるのは物理的に不可能です。
では、どの企業の案件を優先するか。
答えはシンプルで、「情報が豊富で、候補者に魅力を語りやすく、選考がスムーズで、決まる確率が高い会社」 です。
そもそもエージェントのビジネスモデルは成功報酬です。どれだけ候補者をサーチして、面談して、推薦しても、採用が決まらなければ売上はゼロ。だから「決まりやすい会社」「たくさん採用してくれる会社」を優先するのは、ビジネスとして当然の判断です。
逆に言うと、対応に手間がかかる割に決まらない、コミュニケーションコストが高い。そう感じられてしまった企業の案件は、どうしても後回しになります。
だからこそ、企業側からの情報提供と関係構築は、紹介の量と質に直結します。紹介してくれたら丁寧に対応する、選考結果は早く返す、お見送りの理由も具体的に伝える。「この会社のために頑張りたい」とエージェントに思ってもらえるかどうか。相手も人間ですから、この部分が意外なほど効いてきます。
見直しポイント① 求人票の質を上げる
エージェント経由の採用で最初に手をつけるべきは、求人票の情報量です。
求人票はエージェントにとって唯一の「営業ツール」のようなものです。エージェントはこの情報をもとに候補者を探し、スカウトを打ち、面談で求人の魅力を語ります。ここに十分な情報がなければ、的確な紹介は望めません。
求人票に載っている「業務内容・応募資格・年収・勤務地」だけではなく、エージェントが本当に知りたいのは、もう少し踏み込んだ情報です。
- なぜこのポジションの採用が発生したのか(増員か欠員か、事業拡大に伴うものか)
- 入社後に期待する役割と、半年〜1年後のイメージ
- このポジションで活躍している人はどんなタイプか
- 選考で何を重視しているか(スキル、カルチャーフィット、志向性)
- 他社と比較したときの自社の強みや特徴
- 現場が求めるスペック(求人票に書けない情報をエージェント限定情報として記載する)
こうした情報を求人票に盛り込むことで、紹介数や精度はぐっと変わると思います。
もう一つ効果的なのは、有力なエージェントに現場のキーパーソンと会ってもらうこと。採用人数がそこまで多くない企業であれば、エージェントの数は限られるはずです。その中で「この会社は紹介してくれそうだ」と感じるエージェントには、採用責任者や配属先のマネージャーとの面談機会をつくる。現場の温度感が伝われば、エージェントも候補者に対して自分の言葉で語れるようになります。
現場の時間がどうしても取れないときもあると思います。そのときは、まず求人票の情報を充実させることにこだわってみてください。それだけでもエージェントの動き方は変わります。
見直しポイント② エージェントの選定と付き合い方を整理する
「とりあえず大手3社に依頼している」「取引先が10社以上あるが、どこが成果を出しているかよくわからない」。こうした状態は、実はかなり多いです。
ここで押さえておきたいのは、エージェントの数を絞ること自体が目的ではないということ。取引先は多くてもいいんです。ただ、しっかり付き合うエージェントと、依頼だけ出しておくエージェントを明確に分けることが大切です。年に1名決まるかどうかのエージェントであれば、手間もそこまでかかりません。一方で、書類選考通過率がとても低いエージェントは、こちらの工数だけがかかるので早めに見切ったほうがいい。
組み合わせとしては、大手総合型のエージェント+自社の領域に特化した専門型のエージェントが基本です。大手は幅広い候補者データベースを持っている一方、専門型は特定領域に深いネットワークと知見を持っています。両方をうまく使い分けるのが理想です。
そして、この「重点的に付き合うエージェント」を見極めるために欠かせないのが、エージェントごとの成果を定期的に振り返ること。紹介数、書類通過率、内定率、辞退率。この数字を見ながら、成果が出ているエージェントには情報提供を厚くし、動きが鈍いエージェントには要因を確認する。このPDCAを回すだけで、限られたリソースの配分が最適化されていきます。
成果が出ているエージェントとは、月次や隔週の定例ミーティングを設けて、常に情報を共有できる関係をつくっておく。求人要件の変更や選考状況のアップデートがリアルタイムで共有されていれば、紹介のスピードも精度も上がります。
見直しポイント③ 選考スピードとフィードバックを見直す
エージェントはレスポンスが早い会社が好きです。選考スピードが早いと決まりやすいからです。
書類選考に1週間から2週間、面接の日程調整にさらに2週間——。この間に候補者はどうしているかというと、他社の選考も並行して進んでいます。良い候補者ほど複数社から声がかかっていますから、選考が遅い会社は候補者の中での優先順位が下がっていく。最終的に「他社で決まりました」と辞退されるケースも珍しくありません。選考スピードが遅いと歩留まりが悪くなり、結果として決まらなくなってしまう。エージェントからしても推薦した候補者から「まだ結果こないですか?」と問い合わせが入り、候補者との関係が悪くなることだってあるのです。
そういったことを避けるためにも、理想的には、書類選考は2〜3営業日以内、面接の日程調整は1週間以内に初回面接が実施できる状態を目指したいところです。
もう一つ、エージェント側がとても気にしているのがお見送り時のフィードバックです。
「残念ながら今回は見送りとさせていただきます」だけでは、エージェントは次に誰を紹介すればいいかわかりません。「技術スキルは要件に合っていて申し分ないが、マネジメント志向が弱い印象を受けた」「経験は十分だが、人柄として弊社のスピード感には合わないと感じた」——こうした具体的なフィードバックがあるかないかで、次の紹介の精度がまったく違ってきます。
エージェントが「この会社は対応が早いし、フィードバックも丁寧だから紹介しやすい」と感じてくれれば、自然と優先順位は上がります。そういう会社が好きだというエージェントの企業担当は多いです。
紹介の量と質は、企業側の選考対応の質——選考スピードと、詳細な理由のフィードバック——に比例する。地味な話ですが、エージェントとのリレーションをよくする一番の近道だったりします。
おわりに
エージェントを上手く活用して、関係性を良くして、よりよい紹介を増やす。そのためにやるべきことは、意外とシンプルで、自社内で取り組めるものばかりです。
求人票の情報を充実させる、エージェントとの付き合い方を見直す、選考スピードを上げる。どれも今日からできることばかりだったりします。
ただ、自社だけで振り返ろうとすると、「どこに問題があるのか」が見えづらいこともあります。エージェント側がどう感じているかは、聞かなければわかりませんし、それを聞き出すのも意外と難しかったりします(そもそも本音を言ってくれない、というのもありますし)。
フレイズでは、エージェント活用の改善を含む採用支援を行っています。「エージェントを使っているがうまくいっていない」「紹介の量・質を改善したい」といった課題をお持ちでしたら、お気軽にご相談ください。エージェントを20年以上経験してきたからこそできるアドバイスがあると思います。
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