首都圏から福岡へのUIターン転職を検討する方が増えています。暮らしやすさ、生活コストの違い、リモートワークの普及など、理由はさまざまです。
一方で、「年収はどのくらい変わるのか」「求人はあるのか」「実際に住んでみてどうなのか」は、検索しても一般的な情報ばかりでなかなか実感がつかめないのではないでしょうか。
この記事では、私自身が東京から福岡にUターンした経験と、福岡で人材紹介に携わる中で見てきた転職市場の実態をもとに、UIターン転職のポイントを整理します。
福岡のUIターン転職、今どうなっているか
福岡市は人口の転入超過が続いており、首都圏からの移住者も増えています。
弊社で支援している福岡本社の企業でも、UIターンでの採用は年々増えています。特にリーダー・マネジメント層やCXOクラスの採用では、「首都圏で経験を積んだ方を福岡で迎えたい」というニーズが顕著です。
IT・SaaS・コンサルティングファームは福岡に拠点を設ける企業が増えており、求人も増加傾向にあります。スタートアップも、ディープテックやハードウェア系を含めて福岡に拠点を置く会社が増えてきました。
一方で、すべての領域で求人が豊富というわけではありません。業種・職種によって事情がかなり異なるので、次のセクションで詳しく触れます。
年収はどのくらい変わるのか
ここは正直に書きます。福岡本社の企業に転職する場合、首都圏と比べて年収は下がる傾向があります。
肌感としては、2〜3割のダウンになるケースが多いです。たとえば課長クラスのポジションだと、東京では年収1,000万円が一つの標準ですが、九州だと700万円前後になることが多い。それ以上に下がるケースも珍しくありません。
もちろん例外はあります。東京本社のリモート勤務や福岡支社勤務であれば、首都圏の年収水準が維持されることもありますし、スタートアップではストックオプション込みで提示されるため単純比較が難しいケースもあります。ただ、福岡本社の企業に正社員として転職する場合、年収は下がると想定しておいた方が現実的です。
「その分、生活コストが安いから大丈夫でしょう」とよく言われます。確かに首都圏よりは安い面もあるのですが、最近は事情が変わってきています。福岡市中心部、特に天神・薬院・六本松あたりの地下鉄沿線は家賃がかなり上がっていて、東京とそう変わらない水準の物件も増えてきました。年収が2〜3割下がるのに、家賃はそこまで安くない。この点は「福岡は安い」という先入観で転職すると想定外になりかねないので、注意が必要です。
中心部から少し離れて、春日・大野城あたりや姪浜、糸島方面に住めば家賃はぐっと下がります。食費も外食を含めて首都圏より安い。総合的な生活コストを考えれば、可処分所得ベースでは年収の差ほど大きな違いにはならないケースもあります。とはいえ、年収だけを見て比較すると下がるのは事実なので、そこは覚悟のうえで判断していただきたいと思います。
福岡で求人が多い領域と、少ない領域
UIターン転職を考えるうえで、自分の業種・職種に福岡で求人があるかどうかは最も気になるポイントだと思います。
求人が比較的多い領域:
IT・SaaS関連は福岡市内にオフィスを構える企業が増えていて、エンジニア・PM・ビジネス職のいずれも求人は出ています。コンサルティングファームも福岡拠点を持つところが増えました。スタートアップについても、ディープテック・ハードウェア系を含めて福岡に拠点を置く企業が出てきており、経営幹部やエンジニアの採用ニーズがあります。
求人が少ない・注意が必要な領域:
製造業は福岡市内に拠点を持つ企業が少なく、求人は北九州・久留米・筑後方面に集中しています。福岡市内で製造業の求人を探すのはかなり難しいというのが実態です。「福岡市内に住んで北九州に通勤できるか」という話は別の記事で整理していますので、製造業での転職を考えている方はそちらも参考にしてください。
地元大手企業(銀行・インフラ系など)の40代以降の中途採用も、首都圏に比べると事例が少ない印象です。近年は変化の兆しもありますが、経験豊富なミドル層が福岡の地場大手に転職するのはまだハードルが高い。一方で、中堅・中小企業やスタートアップは年齢よりも経験重視で即戦力を採用しているケースが多く、ミドル層の転職先としてはこちらの方が選択肢が広がります。
福岡で暮らすことのリアル
私自身は2020年に東京から福岡に戻ってきて、現在は糸島に住んでいます。
まず通勤について。福岡市内はオフィスが天神・博多周辺に集中しているので、市内に住めば自転車や地下鉄で15〜30分の通勤が普通です。首都圏のように1時間以上かけて満員電車に揺られる生活とは、まったく別の世界になります。
自然との距離が近いのも、東京ではなかった感覚です。海も山もすぐそこにありますし、大分や熊本の温泉にも車で1時間半ほどで行ける。週末の選択肢がまるで違います。
食事は言うまでもなく。福岡に住んで食に不満を持っている人には、まだ出会ったことがありません。
あと、これは住んでみて初めて実感したことですが、人との距離が近い。居酒屋で隣になった人と自然に話が始まったり、経営者同士のコミュニティもコンパクトで、誰かの紹介でつながるということがよくあります。東京だとコミュニティが分散しているし、そもそも人が多い。福岡は街の規模がちょうどよくて、ビジネスでもプライベートでも「疲弊しない」暮らしができるのは大きなメリットだと感じています。
一方で注意点もあります。車は「あった方が便利」というレベルです。市内中心部に住むなら無くても暮らせますが、糸島や郊外に住む場合はほぼ必須。また先ほど触れたとおり、市内中心部の家賃は以前ほど安くないので、住むエリアと予算のバランスは事前に確認しておいた方がいいです。
UIターン転職の進め方
最後に、UIターン転職ならではの進め方をまとめます。
動き始めるタイミング: 引っ越しの半年前には転職活動を始めておきたいところです。求人の紹介を受けてから内定まで1〜1.5ヶ月、そこから引っ越し準備を経て入社というスケジュールを考えると、あまりギリギリだと余裕がなくなります。
選考の進め方: 最近はオンライン面接が普及したので、首都圏にいながら選考を進めることは十分に可能です。最終面接だけ現地に来てほしいという企業が多いですが、すべてオンラインで完結するケースも増えています。内定から入社までの期間も、UIターンの場合は引っ越しを考慮して通常より長め(1.5〜2ヶ月)に設定してもらえることがほとんどです。
福岡に土地勘のあるエージェントを使うメリット: UIターン転職では、求人票だけではわからない情報——その企業の雰囲気、職場のある場所の通勤事情、住むならどのエリアがいいか——が判断に大きく影響します。福岡に拠点を持つエージェントであれば、こうした情報を含めた相談ができます。大手エージェントでも福岡の求人は扱っていますが、地元に住んでいるからこそわかる情報は、やはり地場のエージェントの方が持っています。
まとめ
福岡へのUIターン転職は、年収面では下がる可能性が高い。家賃も以前ほど安くはない。この点は率直にお伝えしておきます。
ただ、通勤のストレスがなくなること、自然が近いこと、食事がおいしいこと、人との距離がちょうどいいこと。こうした暮らしの質は、年収の数字だけでは測れません。私自身、東京から戻ってきたことを後悔したことは一度もないです。
UIターン転職を考えるなら、年収・求人・生活コストの3つを事前にしっかり調べたうえで判断してください。「なんとなく福岡に行きたい」ではなく、情報をもとに納得して決められるかどうかが、転職後の満足度を大きく左右します。
フレイズでは、UIターンで福岡の企業に転職された方の支援実績が多数あります。代表自身が東京からのUターン経験者ですので、転職の相談だけでなく、住むエリアや生活面のご質問にも対応できます。
「福岡への転職に興味があるけれど、まずは情報収集から」という段階でもお気軽にどうぞ。