採用がうまくいかない会社からよく聞くのが、「エージェントを何社使ってもいい人が出てこない」という声です。
面白いのは、10社以上のエージェントと契約しているのに採用が進まない会社がある一方で、3社しか使っていないのにどんどん決まっていく会社があることです。
この違いはどこにあるんでしょうか。
人材紹介会社を上手く活用するために大事なこと、それは「見極めて育てる」という発想だと私は思っています。
エージェントを増やしても、採用の精度は上がらない
採用に苦戦すると、多くの会社はまず「エージェントを増やす」方向に動きがちです。
紹介が来ないのは母集団が足りないからだと考えて、2社、3社と契約先を増やしていく。
ですが、これでエージェントからの決定が自然と増えるということはあまりありません。
求人票が曖昧だったり、社内の選考基準が曖昧だったり、選考のレスポンスが遅かったりする状態で新しいエージェントを増やしても、結局同じ結果になります。むしろ、多くのエージェントにばらまくほど、一社あたりへの情報提供が薄くなり、紹介の質が下がっていくことすらあります。
大事なのは契約先の数ではなく、限られた相手と深く付き合うこと。優先的に付き合うエージェントを決めて、情報を厚く渡し、会話量を増やしていく。エージェント経由の採用は、良い推薦を「待つ」ものではなく、一緒に「精度を上げていく」ものです。
※エージェントを味方につけている会社の特徴については、エージェントから紹介が来ない・的外れな候補者ばかり——よくある原因と、見直すべき3つのポイントでも詳しく書いています。
エージェントは「会社」ではなく「担当者」で見る
ここが今回の記事で一番伝えたいことです。
人材紹介会社の実力は、会社の看板ではなく、目の前の法人担当者に依存します。どれだけ有名な大手エージェントでも、担当者の力量が低ければ良い推薦は来ません。逆に、知名度の高くない小さなエージェントでも、担当者が優秀なら驚くほど精度の高い推薦が出てきます。
エージェントを評価するときは、企業レベルではなく担当者レベルでアセスメントする。これが鉄則です。
担当者は異動でコロコロ変わる
「わかるんだけど、エージェントって担当すぐ変わるでしょ!」という声が聞こえてきます。
そうなんです、人材業界では、担当者の異動が頻繁にあります。特に4月は、組織再編で法人担当が一斉に変わるケースが珍しくありません。せっかく良い関係を築いてきた担当者が、ある日突然「来月から別の者が担当します」となることはよくあります。
そして、次の担当者が同じレベルで動いてくれる保証はありません。前任者が当たり前のようにやってくれていた業界理解、要件の解像度、候補者への口説き方。それらが次の担当者にはなかったり、引き継ぎが不十分だったりします。
そうなると、その会社にエージェント決定の多くを依存していた場合、担当者が変わった瞬間から採用がうまく回らなくなり、大変なことになってしまいます。
合わない担当者は、変更を依頼することも選択肢
法人担当者が合わないと感じたときに、そのまま我慢している企業は意外と多いです。
- 推薦が的外れ
- コミュニケーションが噛み合わない
- こちらの要望を理解してくれない
- レスポンスが遅い
こうした状況が続くなら、担当変更を依頼しても良いです。エージェント側も、合わない担当者をそのままにして契約が切れるよりは、担当を変えて関係を続けたいと思っているはずです。
人材紹介会社を見るときは、「どの会社と付き合うか」ではなく「誰と付き合うか」。この視点を持っているかどうかで、採用の成果は大きく変わってきます。
求人の性質に応じてエージェントを使い分ける
エージェントには得意・不得意があります。
- 技術系に強いエージェント
- 管理部門・バックオフィスに強いエージェント
- ビジネスサイドの営業職に強いエージェント
- 経営幹部・CXOクラスに強いエージェント
- ニッチな専門職に強いエージェント
さらに、推薦の量が多い会社と、少ないけれども質が高い会社が存在します。(もちろんその中間もありますね。。)
- 大量推薦型:候補者の数を多く持ち、マッチしそうな人を幅広く推薦してくる
- 少数推薦型:1年に数件しか推薦はないが、一つひとつの精度が高く決定率も高い
どちらが優れているということではなく、求人の性質によって使い分けるのが正解です。量を集めたい募集には前者、ハイクラスで精度重視の募集には後者、という具合に。
そして使い分けるときには、渡す情報の粒度や濃さも変えていく。大量推薦型のエージェントには求人要件を明確に伝えればある程度動いてくれますが、少数推薦型のエージェントには事業背景、組織文化、入社後の期待役割まで含めて深く共有しないと、彼らの強みが活きません。
※求人要件の整理やJD設計については、採用がうまくいかないとき、最初に見直したいのは求人票・JDの設計かもしれないで詳しく書いています。
新しいエージェントを開拓し続ける
もう一つ、大事なことがあります。
それは、今の取引先が全てではないということ。
厚生労働省の集計によると、有料職業紹介事業所の数は令和5年度時点で29,171事業所。2019年の22,977事業所から、5年で6,000事業所以上増えています。年間に換算すると、1,000以上の新規事業所が生まれている計算です。
そうです、常に新しいエージェントはうまれています。
特定領域に強い新興エージェント、独立したシニアエージェントの小さな事務所、スタートアップ特化の新興サービス。
こうした会社の中には、自社の採用ニーズにドンピシャでハマる相手がいる可能性があります。
常にアンテナを張って、新しいエージェントの情報を取りに行く。
商談があったら一度話を聞いてみる。
この開拓の努力を続けているかどうかで、1〜2年後の採用力には大きな差が出てきます。
自社にあったエージェント、担当者を探しつづけることが大事ですね。
採用コスト全体の中でエージェントをどう位置づけるか
最後に。
中途採用のチャネルは、エージェントだけではありません。
- 自社サイトからの直接応募
- 求人媒体(リクナビNEXT、dodaなど)への掲載
- ダイレクトリクルーティング(ビズリーチ、Greenなどでのスカウト)
- リファラル採用(社員紹介)
- 採用代行・スカウト代行の活用
それぞれに、かかるコスト(費用と社内工数)と得られる成果が違います。
ダイレクトリクルーティングで自分たちでスカウトを打つ場合、媒体費用はかかりますし、返信率を上げるための文面作成や候補者対応に膨大な工数がかかります。スカウト代行に丸投げすれば工数は減りますが、今度は外注費用(+媒体費用)が増えます。
こうした選択肢の中で、エージェントは「成功報酬型で、マッチングの手間を外部に任せられる」という特性を持つ優秀な採用チャネルです。上手く活用すれば、採用にかかる社内リソースを大幅に減らせます。
つまり、エージェントを上手く使うことは、単に「採用を助けてもらう」だけでなく、採用コスト全体を最適化することにつながります。自社採用、リファラル、ダイレクトリクルーティング、エージェント。それぞれを上手く使い分けながら、自社に合った採用体制を作っていくことが大切です。
おわりに
エージェント活用が上手い会社と、そうでない会社の違いを整理すると、こうなります。
上手い会社は、次の4つを回しています。
- 見極める:エージェントの実力を会社ではなく担当者レベルで評価する
- 育てる:優先エージェントを決めて、情報を厚く渡し、会話量を増やす
- 使い分ける:求人の性質に応じて得意なエージェントを選び、渡す情報を変える
- 開拓し続ける:今の取引先が全てだと思わず、新しい相手にもアンテナを張る
この4つを続けていけば、やみくもに契約社数を増やさなくても、採用は確実に上手くいきます。
フレイズでは、人材紹介だけでなく採用支援サービスの中で、エージェントマネジメントの支援も行っています。現在の取引エージェントの見直し、優先エージェントの設計、情報提供の仕方、新規開拓まで、実務ベースでのご支援が可能です。
「エージェントを何社も使っているのに、採用が思うように進まない」 「担当者が変わってから、なんとなく紹介の質が落ちた」 「どのエージェントに何を頼めばいいか、整理できていない」
こうしたお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。